文字のデザイン 小紋づくし
今月の型紙

    小紋づくし1
    小紋づくし2
      「小紋」とは、種々の細かな文様を布へ染め出したものを指します。染色型紙を用いた染めとして一番よく知られているのは、小紋かもしれません。一口に小紋と言っても、そのデザインはさまざまで、植物や幾何学文様、器物など多岐にわたります。今回は、「文字」のデザインにスポットをあて、キョーテックコレクションの中から紹介していきたいと思います。
     小紋の染色型紙は、多くが「錐彫」によって製作されています。錐彫は、半円形の彫刻刀を回転させることによって小孔を彫る、型紙彫刻技法の中でも最も古いものの一つと言われています。
    chapter1

    干支尽し

     一枚目の型紙は、「干支」の文字が型紙全体に配されています。遠目からではわかりませんが、よく見てみると「子、丑、寅・・・」と文字が浮かび上がるように見えてきます。文字以外に型紙全体へ小孔が散らしてありますが、それぞれの文字は小孔の間隔を狭めて彫刻しているので、判読することができます。小孔の径はすべて同じ大きさだと思われますので、小孔が彫刻される間隔や位置の違いのみによってデザインが成立していると型紙です。
    さて、あなたの干支はみつけられましたか?(KTS06354)
    chapter2

    三都尽し

     次にご紹介する型紙は、「京」、「大坂」、「江戸」の文字が全体に配されています。江戸時代は、京都、大坂、江戸が三大都市でしたから、三都の文字入り型紙は、この他にも目にします。人気のあるデザインであったと推測されます。
    この型紙は、二種類の彫刻刀が使用されていて、文字の部分は周囲よりも小さな径の彫刻刀が使用されたと思われます。一見無造作に文字が配置されているように見えますが、全体が同じように見えるよう、文字の位置や傾きなどが調整されています。「京」の字は少し丸みを帯びていて、漢字ですがやわらかい印象を与えてくれます。(KTS06722)
    chapter3

    寿の字尽し

     最後にご紹介する二枚の型紙は、いずれも「寿」という文字をデザインに使用しています。「寿」は、慶事をことばで祝うことを意味するので、一目見て吉祥のデザインであることがわかります。また、「寿」という字は「かたち」そのものも特徴的なので、錐彫で簡略化して彫刻しても、「寿」という字であると判別できます。こうした点も型紙のデザインとして好まれた理由の一つかもしれません。
    この型紙は、遠目から見ると幾何学文様が配置されているようにみえ、近づくと「寿」という字が浮かび上がるという、視覚的に楽しむことができるデザインです。(KTS06855)
    chapter4

    寿の字に杯

     二枚目の「寿」の型紙は、杯が一緒に配置されています。すき間なく文字と杯が配置されていて、本当に気の遠くなるような彫刻作業であったと想像されます。小孔が密集して彫刻されていますが、不思議なことに、どの小孔も輪郭線を形作っていて、無駄な小孔は一つもありません。1ミリでも彫刻する位置がずれていたら文字や杯のデザインは壊れていたでしょう。寸分違わぬ位置に小孔を彫刻し続ける型彫り職人の技術が伝わる型紙です。(KTS07029)
     普段の生活で何気なく使っている文字。しかし、「線」で構成される文字を「点」に変えるとがらりと印象が変わります。また、小紋で表現することも文字を見応えのあるデザインとしてくれる工夫なのかもしれません。
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    Designer's Inspiration(デザイナーズ インスピレーション)| キョーテック×立命館大学アート・リサーチセンター
    - 世界に誇る京の型紙デザイン -
     当社は約80年前 佐野意匠型紙店として京都で祖父佐野義男が創業しました。
     創業者は伊勢の津の出身で三重一中を卒業後、京都で親戚のきもの型紙屋で丁稚をしながら染織を学びました。ほどなく同地で型紙屋として独立し、日本の型紙の大半を生産していた郷里の伊勢の白子(現在の鈴鹿市白子)を仕入のために毎週行き来しながらデザイン提案のできる京都で最大手の型紙屋に成長します。型紙とデザインをこよなく愛し、その頃から蒐集してきた伊勢型紙の秀作がいまも本社の2階倉庫に1万8千点余り眠っています。

     時が経ち現在は使わなくなった型紙をこのまま朽ちさせるには忍びないと、地元 立命館大学の美術アーカイブ界権威の先生とコツコツとデジタル撮影をはじめ、7年越しでようやく今年日本一の検索可能な型紙デザインアーカイブが完成しました。創業者が望んだように日本の優れたきもの古典デザインを、日本のみならず世界のデザイナーに知っていただき少しでも活用いただければ、出身のきもの業界へも恩返しになるのではと考えています。
     現在当社は染織ときもの業界を卒業し、主業はインテリアと電気業界に移り住みましたが、温故知新でデザイン情報を発信するとともに自社の製品デザインにも展開してまいりたいと考えております。少しずつしではありますが、今後の展開に宜しくご期待くださいませ。

    旧屋号 佐野意匠型紙店 四代目代表(現 キョーテック)佐野聡伸
     Our company was founded as SANO Kimono dying stencil workshop more than 80 years ago by my grand -father in Kyoto. He was born at ISE, Mie Prefecture, then after graduated local college, he started to work at his uncle's the stencil workshop in Kyoto. Soon he built his own workshop, every week he went to buy the stencil from SHIROKO near his hometown, later his shop became No.1 major design pattern shop in Kyoto. He loved Kimono and its pattern stencils, and collected eagerly and kept more than 18000 stencils in our head-office storage yard still now.
     After long long time, we feel sorry the stencils are leave to decay, then make up our mind to digital photo reserving with RITUMEIKAN University, world famous recerch centre of art data preservation. It takes 7years to built web searchable data-base.
     Now we sincerely hope that not only Japan but also world designers make use of our stencil data, as a result we can repay our origin Kimono industry. This seems to be our founder's dream.
     However, now we lives away from kimono and fabric trade, we can give you useful design information,and also use ourself as our product design. We will go Slowly but steadily, so please keep your interest on us!

    4th representator of SANO KIMONO DESIGN STENCIL WORKSHOP(old name)
    Toshinobu Sano (now KYOTECH Co,.LTD.)
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